大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和49年(ネ)1317号 判決 1975年10月28日

主文

一、原判決中控訴人敗訴部分のうち、被控訴人に対し、金一、八四八円及びこれに対する昭和四四年一一月三〇日から支払済まで年六分の割合による金員の支払を超えて金員の支払を命ずる部分を取り消す。

二、被控訴人の請求を棄却する。

三、控訴人のその余の控訴を棄却する。

四、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担

とする。

事実

控訴代理人は「一、原判決中控訴人敗訴部分のうち、被控訴人に対し金一、八四八円を超えて金員の支払を命ずる部分を取り消す。二、被控訴人の請求を棄却する。三、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張並びに証拠の提出、援用及び認否は、控訴代理人において「原判決五枚目―記録二七丁―表七行目に「とどまり」とあるところから同表一〇行目までを「留まるべく、右フランは右条約作成当時(一九二九年一〇月一二日)フランス共和国の通貨であつた金の裏付のあるフラン(純分一〇〇〇分の九〇〇の金の六五・五ミリグラムから成る。以下金フランという。)と解すべきであるからこれを本件口頭弁論終結時(昭和四九年一二月一〇日)を換算時点として日本円に換算し、本件荷物の申告重量〇・三キログラムを乗ずると、控訴人が被控訴人に対して負う本件損害賠償責任は金一、八四八円に限定される。従つて、被控訴人の控訴人に対する本訴請求は、右金員の支払を求める限度で正当であるから認容し、その余は失当として棄却すべきである。よつて、前記控訴の趣旨とおりの判決を求める。」と改めると述べ、被控訴代理人において控訴人の右主張事実は争うと述べたほか、原判決事実摘示と同じであるからこれを引用する(但し、原判決三枚目―記録二五丁―裏四行目に「東京通産業局通商課」とあるのを「通商産業大臣」と改め、同裏七行目に「二〇万」とあるのを「二万」と改め、原判決四枚目―記録二六丁―裏七行目に「および」とあるのを「及び」と改め、原判決九枚目―記録三一丁―表八行目から表一〇行目にかけてを「から同年一二月一〇日右貨物の紛失が判明するに至るまでの経過は認め」と改め、同裏八行目に「乙号各証」とあるところから次の行に「含む。)」とあるところまでを「乙第六、第八及び第九号証の原本の存在及び成立並びにその余の乙号各証の成立」と改める。)。

理由

一、当裁判所は、被控訴人の控訴人に対する本訴請求のうち一部は正当でその他は失当であると判断するが、その理由は、左のとおり付加及び訂正するほか原判決理由一ないし四項(原判決一〇枚目―記録三二丁―表五行目から原判決一三枚目―記録三五丁―裏八行目まで)の記載と同じであるからこれを引用する。

(一)  原判決一〇枚目―記録三二丁―表九行目の「紛失し、」とある前に「運送契約に基づき運送中」を加え、同裏四行目に「荷送人」とあるのを「荷受人」と改め、同裏六行目に「二〇万」とあるのを「二万」と改め、同行に「七二〇万」とあるのを「七一七万」と改める。

(二)  同丁裏一〇行目を「つて、右二国は共にワルソー条約締結国であるから右条約の適用があり、右条約第一八条に定める要件に従い控訴人は運送人として荷送人である被控訴人に対し、損害を賠償すべき義務ありというべきである。」と改める。

(三)  原判決一一枚目―記録三三丁―裏九行目の「あつたこと」を「あつたと認められること」と改め、同裏一〇行目の末尾に「右の事実によれば本件貨物はアメリカンエアーラインズ社のニユーヨーク国際空港内輸入貨物上屋内貴重品保管室に保管中の同年一一月二六日から一二月三日までの間に紛失したものと推認される。」を加え、同裏一一行目から次の丁表四行目までを削り、原判決一三枚目―記録三五丁―裏三行目に「したがつて」とあるところから五行目に「である。)」とあるところまでを、「従い、本件口頭弁論終結時(昭和四九年一二月一〇日)を換算の時点として日本円に換算すると、二五〇フラン(金フラン)は金六、一六〇円(詳細は別紙計算書のとおり)」と改め、同裏六行目に「である」とある次に「ことは当事者間に争いがない」を加え、次の行に「四、四〇七」とあるのを「一、八四八」と改める。

二、以上の次第で、控訴人は被控訴人に対し、本件損害賠償債務として金一、八四八円及びこれに対する本件訴状送達の翌日であること記録上明らかな昭和四四年一一月三〇日から支払済まで商法所定年六分の割合による遅延損害金の支払をなすべき義務があるから、被控訴人の控訴人に対する本訴請求は、右義務の履行を求める限度において正当としてこれを認容すべく、その余は失当として棄却すべきである。従つて、原判決中右限度を超えて控訴人に対し金員の支払を命ずる部分は相当でないから本件控訴中右部分の取消を求める部分は理由があり、その余は失当であるから棄却すべきである。

よつて、訴訟費用の負担につき民訴法九六条及び九二条を適用して主文のとおり判決する。

(別紙)

計算書

(1) 1金フランの含む純金のグラム数

<省略>

=0.05895グラム

(ワルソー条約22条4項参照)

(2) 1金フランに相当する合衆国ドル

<省略>

=8セント(セント未満切捨)

(純金1トロイオンスは31.10348グラムであり合衆国ドルは純金1トロイオンスにつき42ドル22セントである。)

(3) 250金フラン=0.08ドル×250=20ドル

(4) 250金フラン=308円×20=6,160円(円未満切捨)

(5) 本件荷物についての責任限度額

=6,160円×0.3

=1,848円(円未満切捨)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例